表紙を踊るこの言葉に、全てが込められていると思います。
「完璧を目指すより、まず終わらせろ」

 この本は、マイクロソフト社の最新技術カンファレンス「de:code 2017」(2017.05.23-24)で先行発売されたものです。
しかし、内容としてはとてもガッツリとしたビジネス書であり、経営者・エンジニア・マネージャ・人事担当など問わず、多くの人に読んで頂きたい一冊と感じました。
併せて、本エントリでは自身のぶち当たっている問題と、この本を読む事によって解決できそうな点について挙げていきたいと思います。


日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法
ロッシェル・カップ
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2017-07-18





また併せて、de:code2017 day2のセッション「日本企業の生産性を根本から改善する 8 つの習慣とその事例」より引用をしながら紹介したいと思います。

■自身の目標設定と将来のゴール

自分自身、現在35歳であり、17年の間でウェブアプリケーション・ネットワーク・データセンタファシリティ・プロジェクトマネジメント・トレーナーといったいくつもの職種を経験してきました。
しかし、「プログラマ35歳定年説」という話にもある通り、(実際にはもっと現役の方も数多くいらっしゃるのですが)現場のエンジニアとしては「意図する技術的な意味はわかるけど、実装する手が動かない」となってきているのが現実です。
丁度そこから先を考えている時にde:code 2017に参加し、ロッシェル・カップさんの書籍およびセッションに振れたことで、今後の自身の在り方の一つを手に入れた気がします。

■この本の意図するところは

まず、この本「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」は、エンジニアリングの現場を中心に書かれていますが、それらは知的労働の現場すべてに当てはまるものであり、メソッドや国内外の実例を挙げて紹介されています。この本はあくまで「メソッドの集合体」として捉えて頂きたく、そこから自身の環境に合ったメソッドを順次取り入れていくのが良いと思いますし、本書内でもそう述べられています。また、「目的(ゴール)」「手法」「具体例」の繰り返しで書かれている事からも、とても実践しやすいお手本となる本でもあるでしょう。

■日本のビジネスマンが幸せになれる本

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日本のITプロフェッショナルは、「社畜」「過労死」といった言葉でも現す通り、とても恵まれているものではありません。
上記のスライドはロッシェル・カップさん・マイクロソフト牛尾さんのセッションからの引用(以下同様)ですが、海外のプログラマの知り合いから聞く話でも、シリコンバレーのプログラマは日本のプログラマに比べて3倍以上の給与を貰っているという話も聴き伝わっています。
また給与に限らず、待遇改善という意味でもシリコンバレーは進んでいます。日本ではGMOインターネット社といったごくごく一部の会社では無償のランチやバー、マッサージスペースや託児所などを設けていますが、ほとんどの会社ではその恩恵を授かれることはありません。

しかし、この本の意図するところはこれら表面的な部分だけではなく、
  • 「仕事を通じて人生をハッピーにする」
  • 「経済的に社会に貢献をする」
この2点に感じました。

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「え、今のままでいいんじゃないの?」と想う方も多いかもしれませんが、上記のスライドを観てみましょう。
自分の直感半分ではありますが、今の日本の承認文化・トップダウン文化では、いずれ自身の居場所がなくなります。直近30年程度は大丈夫かもしれませんが、自身の幸福度と少ない給与でも安定した平凡な人生、どちらを選びますか?僕は前者を選びたいと思います。

■日本に足りない文化のインストール

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DevOpsはまだ最近の文化ですが、Agile Project(すばやいライフサイクルのプロジェクト)はこれらの上に成り立っており、それらを理解する為には日本文化と、Agileのベースとなる西洋文化の違いを学ぶ必要があります。
本書はこれら「日本文化の上に載せる西洋文化」についてまとめられており、Google、Facebook、Dropboxといったよく知っている海外の企業から、東芝、日立、JR東日本といったよく耳にする国内企業まで、幅広い事例が載せられています。
また本書は2016年末から執筆されており、2017年現在で最新の海外事情としてもインプットする事ができます。

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日本でAgileやDevOpsを導入する為の8つの習慣として、ロッシェル・カップ氏とマイクロソフト社で上記の内容が提唱されています。
これらは以下のウェブサイト等からもインプットする事ができますので、是非参考にして欲しいと思います。
メッソド屋のブログ (マイクロソフト DevOpsエバンジェリスト 牛尾さんのブログ)

本書はこのスライドそのものではありませんが、全ての要素を含みます。
よって、本書を現場で実践する事により、すぐにアウトプットの効率化を進める事ができるでしょう。

■おわりに-自身の今後の方向性

実は来週、弊社下期(Q3-Q4)のゴール設定のレビューを控えているのですが(苦笑)、この本やセッションはとても血肉になり、また今後自身の仕事の中で活かされていくと思います。
僕はエンジニアの垣根を超えて、ブリッジ(連絡・調整)をする方向に舵を切っています。この仕事は昔からやっている事ではありますが、サーバントリーダーシップにおける「マネージャ=奉仕者」という概念にも基づいており、これらが裏付けされた為でもあります。
この本を読んで思った事は、過去17年間で沢山の失敗をし振り返ることがなく心の負債となって積もり積もっていたのですが、それらがほとんどメソッドに変換された事です。やはり同じような失敗を繰り返してリファクタリングを繰り返している人は沢山居ることに気づいて、そして彼らのアウトプットをキレイに纏めてくださり、ストッとインプットする事ができました。

最後に、本書の著者でそしてセッションを担当して頂いたロッシェル・カップさん、そしてマイクロソフト牛尾さんにこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。